京都大学教育研修施設(東一条館)
コンセプト 当施設は京都大学の大学院教育において、広い視野に立ち国内外でリーダーシップを発揮できる人材を育成する次世代の大学院拠点です。合宿して勉学を共にする本施設設計では、闊達なコミュニケーションが自然に生まれる空間構成を第一としました。地階から2階までを3層の吹き抜けで繋いだコミュニケーションロビーは互いに見通しがよく、どこにいても会話がはじまる雰囲気をつくっています。3階の宿泊部はざっくばらんな議論や連帯感を育む共用空間に工夫をこらし、ガーデンテラスや壁全面がホワイトボードとなるロビーの配置など、ここでも活力に満ちた交流をテーマとしました。
一方、施設の環境配慮について、太陽光発電のほかエコシャフトやガラスルーバーのダブルスキンを設け、実益だけでなく外部に対して環境建築を積極的に発信できるデザインとしました。エコシャフトは自然採光の他にいわゆる「ソーラーチムニー」として太陽熱と煙突効果を利用した自然換気の促進と、「ナイトパージ」機能として夜間の躯体冷却効果を担うパッシブ環境装置ですが、運用コストの削減量を具体的に算定し実効性を確認しながら設計を進めました。
住宅地の中での建設でしたが、柔らかな表情の外装タイルや2層構成の外壁など、威圧感を抑え、京都の美観地区としての景観や近隣に配慮した建築としています。